ここからサイト共通メニューです。

サイト共通メニューをスキップします。
 

大学概要

clear

学長メッセージ

Message from the President

clear

平成25年度 学位記授与式 餞の言葉

 みなさん、卒業おめでとうございます。
 つい先ごろまでの大雪も、まるでうそであったかのような穏やかな春の季節となりました。 みなさんは、本日、めでたく、宮城教育大学の学部を、あるいは大学院を修了されました。
 カリキュラム内の学業として、ボランティア活動で、サークル活動などで、多くの学びがあったことと思います。 多くの友とも出会い、信頼できる師にも巡り会えたことを期待します。大学での経験を糧に、広い世界に目を向け、一層充実した人生を歩んで下さい。

 東北の太平洋沿岸に甚大な被害をもたらした東日本大震災が起ってから三年が過ぎました。瓦礫の山が片付けられ、復興も進みつつありますが、 その歩みはたいへん遅いように感じます。そして、一見、穏やかそうな日常の中に、子どもたち、特に幼児や小学校低学年に、落ち着きがないなど、 心のケアの必要な状況が顕在化し、心配な状況にあります。
 このような時、みなさまは、学部を、大学院の課程を修了されます。 そして多くの方々は教師として教育の現場に携わることになりますが、苦難に直面した子どもたちに寄り添い、どうか支えてあげていただきたいと思います。

 子どもたちには、夢があります。志があります。しかし、この震災によって諦めかけているのではないかと、たいへんに気がかりです。 その志や夢を実現するために、みなさんの助けを待っています。
 被災地の人びとは、地域復興の苦悩との戦いの日々の中で、唯一の希望は、「将来を担う子どもたちへの期待」です。
 本日、めでたくご卒業され、社会に出るみなさまには、どのような職業、進路を選ぶにしても、それぞれの立場で、子どもたちを、そして地域を支えてください。

 さて、ルイス・キャロルの小説『鏡の国のアリス』に登場する赤の女王の言う、「同じ場所にとどまるためには、絶えず全力で走っていなければならない」と いう言葉があります。
 この言葉は、種・個体・遺伝子が、生き残るためには進化し続けなければならないことの比喩として、用いられることもありますが、 今日の社会状況を現しているような気がしてなりません。
 グローバル化、分散・多様化の現代に生きる私たちは、好むと好まざるとにかかわらず、今、この“赤の女王”の云う世界に住んでいるように思います。 しかし、走らされるのではなく、自ら求めるのであれば、辛いことではなく、たのしいこととなるでしょう。教師は、絶えず学び続けるべき存在です。
 現職の教員で本学の教職大学院を修了される皆様は、そのことをよくお分かりだと思います。大学の学部を卒業したからと云って、学業が完成したとは いえないということです。だからこそ、教職大学院に入り、それでも学業が完了したわけではありません。生涯が学習です。社会の急速な進展の中で、 技術・能力の絶えざる刷新が必要であり、探求力を持って学び続ける存在であることが、求められております。

 本学は、このことを、創設の頃から、大事にしてまいりました。宮城教育大学は一時期、“卒業の集い”は行ったもの、卒業式というものを行わない時期が あったことを知っていただければ、ご理解いただけると思います。
 本日、この卒業式にあたり、みなさんは「人生に卒業はないのだ」ということを改めて認識し、卒業後も「学び続ける存在」であって欲しいと思います。 そして常に、真理の前には謙虚であって欲しいと思います。

 本学は、東北の教育の中核大学としての役割を果たしてまいりました。みなさんはご存知でしょうか。本年度、国は各国立大学にミッションの再定義を行いました。 そして本学は、教員養成大学として広域拠点型を目指す大学の類型に分類されました。
 つまり、宮城県を主としつつ、広範にわたり教員を輩出するとともに、広域地域、特に東北の、教育の拠点機能を担う単科大学ということです。

 再定義されたミッションの下で、広域拠点型の単科教育大学として、大学改革を一層進めようとしております。 その一歩として、国の進める「地(知)の拠点形成事業」に手を上げ、全国の教員養成大学としては唯一、採択されました。 地域に貢献するための大きな一歩を踏み出したことになります。地の拠点とは、“地域の”地であり、同時に、“知恵、知識の知”です。
 これは“COC (Center of Community) 事業”ともよばれ、地域の文化、地域の教育資源、教育力を大学学部の授業に取り入れ、教員の養成を行い、 卒業後に地域の教育に貢献して、地域にとって有用な人材の育成をおこなおうというものです。
 この事業の中心には、成果を蓄積するCIT、Cloud for Innovative Teachingの略ですが、CIT【宮城教育クラウド】というクラウドのセンターをつくります。 我々は、このクラウドに集約された知の集積を活用して、教師教育の向上に努めるため、カリキュラムの改革や、必要に応じて組織改革も進めようとしております。 教師として社会に出るみなさまは、是非、この事業の成果をご活用下さい。

 教育の現場には、さまざまな課題があります。学校では、「上から“教える”という時代」から、「子どもそれぞれが“自ら学ぶ”ように導く時代」へ 移りつつあります。さらに、高度情報化社会のグローバル化の時代におります。一般には、教員養成大学はグローバル化には遠い存在と勘違いされている 向きもありますが、グローバル化社会を将来担うであろう子どもたちの教育には、グローバルな視野が必要です。さらに21世紀キー・コンピテンシーの 育成などにも注目する必要があるように思います。

 本学は、東北大学から独立して来年で50周年になります。都心に近い青葉山にありながら、たいへん自然豊かなキャンパスが学舎です。 ツキノワグマやカモシカとも会える大学は、そう多くはないと思います。来年には地下鉄「青葉山」駅もできて、街から一層近く便利になりますので、 時には、大学を訪れ、今後の人生においても、宮城教育大学をおおいに活用して下さい。大学は、現在、来年からのホームカミングデーの制定を検討しております。

 宮城教育大学は、すべての卒業生が、そしてすべての現職教員のみなさまが、教育で困ったときはいつでも来ていただけける“母なる港”、 「母港」でありたいと考えます。そして、卒業後も、皆さんを支援したいと考えます。

 みなさまの前途が、希望に満ちた充実した道でありますよう心から祈念し、卒業に臨んでの餞(はなむけ)の言葉といたします。



平成26年3月25日           

国立大学法人 宮城教育大学長  見上 一幸

clear
先頭へ戻る